ただ俺が勝手に対抗意識を燃やしてるだけ

国坂には相手にもされてないかもしれないけど……

だとしても、アイツに負けっぱなしはいやなんだ


「もう、あいつらのとこに戻らなくていいじゃん」

「へ?」

「俺、みさきとここにいたい」


雰囲気にのまれて思わず抱きしめると


「ちょっと」とやんわり押し返される


ベッドサイドのデジタル時計は23:48と緑色に光っている


「俺の誕生日、あと12分で終わるから……
12分、こうしてて」


そういってもう一度抱きしめると、これも誕生日効果なのか……みさきはじっとしたまま動かなかった


ケータイがつながっててもつながってなくても、もうどうでもいい


去年、みさきが留学に行ったって聞いてからずっとこうしたかったんだ


ただじっとしているだけで触れ合う胸の柔らかさとか、心音とか、呼吸が同調していく

少しだけ腕に力を入れて、彼女の髪に顔をうずめると、唇に耳が触れる

舌を出してそっと耳の縁を舐めると、逃げようと体を動かされた


「離して、理一」

「後、10分」

離れないように捕まえる


「遅くなると怪しまれる」

「なんで?あっちは恋人同士だから二人にしてやったほうが喜ぶじゃん」

「……でも、アタシ達は違うやろ」


両腕でみさきを囲ったまま、頬をすりよせるように彼女の耳に口を近づけた

時間が、止まればいいのに

なんて女みたいなことを考えながら……