一階あがるとシングルの部屋になるらしい

階段をあがっていくみさきの足が、すっごい気になる

やっぱり、みさきにはこのパジャマ短すぎる


部屋の鍵をあけて、ドアをあけたまま「ちょっと待ってて」とみさきは中に入って行き、俺はそこで待っていたけど……

タイミング悪くみさきケータイの着信音が鳴って、音が廊下に響き渡ったから俺は室内に入ってドアをしめた

漏れ入っていた廊下のあかりが遮断されて暗くなるから電気をつけると、「もしもし?」とみさきの声が聞こえてくる


あこが“ついでに何か取ってきて”とかかけてきてんのかもしれない


と思ったけど、会話の内容ですぐ違うことがわかった


「うん、人身事故で電車も動いてないし……
明日は待ち合わせの時間ちょっと遅らせてくれる??」


……国坂っぽい


「あこも一緒、うん……
あ、それでもいいよ!
オッケー、じゃあ明日ねバイバイ」


室内に歩いて行くと、みさきがケータイをぽんっとベッドに置いてカバンをごそごそしている


「何してんの?」

「うん、廊下に自販機あったからみんなのジュース買っていこうと思って」


ケータイ画面の照明がいつまでたっても消えないから、何気なく見ただけなんだけど

―通話中―と出ていて、時間がカウントされていっている


……これ、電話つながったままなんじゃないの??


「なあ、電話誰からだった?」

「ん?なんで??」

とみさきが振り返りそうになったから、思わず彼女の真横に座ってケータイが見えないように隠してしまった


――ごめん、みさき

みさきを困らせるつもりは全くない、んだけど