「片思いを“がんばり~”って応援し合うとか……
誰かの好きな男の子と話したら裏切り者扱いみたいな、そういうの苦手
すごい気を遣うし……」

「俺は男だからそういうのってないけどな~」

「だから、男子といる方が楽やったよ」

そういってごまかすように少し笑っている

高速道路を走る車の音が近くなる、駅へと向かう道

「それであんなにやっかまれたわけだ」

「やっかみ……なんかな?
まあ、むかつくよね、自分の好きな男が他の女と遊んでたら」

みさきが「あっ!」と思い出したように大声を出して

「でも……最高何Pとか、そんなんは根も葉もないウソ」と付け加えた

「ハハッ、すげーな噂って」

「病気も、持ってないし」

「うん、……知ってる」


つないでいない方の手が俺の肩近くを軽く叩いた


「んじゃ、笹川くんもウソか」

「…………え、うん」

あれ?当然流れ的にはウソだと思ったのに……

「変な間あけんなよ」

「ごめんごめん、笹川くんって誰やっけって思って」

絶対んなわけない

ってゆうか、俺が聞きたいよ……笹川くんって誰?
どんな男?

港しかないから、もともと利用する人が少ない駅だけれど、駅前にもなれば数人は歩いている

港お散歩デートなんてあっという間

時刻も22時過ぎで、俺の誕生日効果もあと数時間したら消滅してしまう


「みさき、地元戻ったらさ……」

と言いかけたら、みさきのケータイが鳴った


「あ、あこ」