「悪いとは思ってるけど、俺だって言い分があるし!って強気でいったんだけど、到底敵わなかった」


甲板で女に土下座している男の絵を、俺も見たかった

ましてや、あこととよきなんだから……一生ネタだ

いや、ネタにできるのも丸くおさまったっぽいからなんだけど


「んで?二人きりにしてやったんだから、諸岡に告白でもした??」

「してないって、振られるの目に見えてんじゃん」

「あれ、そんなこと考えずに思いのままいくかと思った」

「…………」


向こうの方で「どこ~~声出して~~手ェあげて~~」とみさきが言っている声が聞こえる

かくれんぼで隠れてるのに手をあげるヤツがあるか


「っつか、仲直りしたんならあこと消えろ」

「いーけど、どーすんの」

「どーすんの……って、せめてちょっとデート気分を味わいながら帰ろうかなって」

「へえ」

……へえって


「んじゃ……消えるか」


と言いながらとよきはあこのいるところをのぞいて、花壇の上からみさきが見当違いなところを探しているのを確認するとさささっと中腰で行ってしまった


どんどんと離れていくみさきは、このままだと1時間たっても俺を見つけてくれなさそう


とよきとあこは堂々と立ち上がって歩いて遠ざかって行ってるし

それすらみさきは気付いてないし


俺はさっきまであこが隠れていたベンチに座ると、柱のうしろをさっとのぞきこんだり、日中営業しているんだろう売店のまわりをぐるりとまわっているみさきを眺めていた


うん、多分ベンチに座っている俺すら見つけてくれなさそう


かくれんぼでみさきを鬼にしちゃいけない

MJと友達のくせに、勘が鈍すぎる