好きな子との相合傘って、肩が触れたとか手があたったとか、そういうのを楽しむんだと思うけど……

両手でゴミ箱を抱えた俺は、たまにみさきに傘をぶつけられつつ歩いた


「理一、やっぱ背のびたよね」


と高く傘をあげてくれるけど、もう二人とも半身びちょびちょ


「一回荷物置いて、アタシ着替えるね
悪いけど、家の中にまで運んでくれる?」

「もちろん」


決してまだ暗くなる時間ではなかったけれど、室内は薄暗かった


「WOWOW見てていいよ、すぐ着替えてくる」


それよりも……

みさきが選んでくれた迷彩のケースを取り出すと、新しいケータイにつけた

慣れない手つきで操作する


とよきよりもナルよりも真っ先にスマホにしてやったぜ


電話帳を出すだけでも苦労していると、今度は黒のマキシ丈ワンピースを身にまとったみさきが出てきた

迷彩のシュシュでサイドで髪を結んでいる


「みさきって、迷彩好きなの?」

「好き好き」

「よしっ、んじゃ、俺んち行くか」

「うん、ごちそう楽しみ~~」



玄関を出て鍵をしめる後ろ姿を見ると、ここで彼女にキスしたことをふと思い出した