また締め技かけられるかと思ったのに、とよきはサッとアタシから離れると自動販売機に片手を置いてうなだれた


……???


「……とよき?」

「ヤ、ッタ……」

2~3歩あるいて横からとよきを覗き込むと、地面を見つめていた目をパッとあげてアタシに向き直る

「ヤッタ!!!」

と今日二度目の締め技

「……イッタ……」

と言うと、「ごめん」と離れていく

「このばか力!」

「何言われても怒る気がしねえ」

そして三度目の締め技


もう、笑えてくる

“ヤッタ”って……

触れ合ってる体が振動する


「とよきのケータイ鳴ってない?」

「無視」


そう言ってしばらく抱きしめられるがままでいたんだけど、バイブが切れては震えてどーしても気になる


「ね、もうケータイ鳴るの三度目だよ?
急用だったらどーするの?
せめて誰からかだけでも見れば?」

とよきはやっとアタシから腕を離してケータイをポケットから取り出した


「「……理一」」

画面にデカデカと理一の顔が出てて、二人で呟いた

「絶対急用じゃねーよ、これ」

「まあでも、何回もかけてきてんだし、出てやれば?」


とよきは通話ボタンを押すと電話を耳と肩にはさんで、アタシの腕をつかんだ