あれって……アタシだけの為に行った、の???


とよきが頭をかいたり、あごに手を置いて考えたり、ポケットに手を突っ込んだりしている

突然おちつきがなくなったとよきを見て不審気に片眉を上げてちょっと笑いながら言った


「どーしたの??」

「え?あー……いや、キザなセリフを言えるヤツってすごいなって思って」

「は?」

「だって俺……“お前のハートにバンジージャンプ”とか言えないし」

「それ、キザじゃないから」


なにそれ……と、笑い出したら止まらなくなってしまった

「キザどころか、ウケ狙いとしか思えない」

ってお腹抱えて笑っていると


「お前ナア……俺の6年間の恋心を言葉にするのがどれだけ難しいかわかってないだろ」

「6年もためこむからじゃん」

「……っ!今俺、殺意が芽生えたわ」

「6年かけて出た言葉が“お前のハートにバンジージャンプ”って……フフフフ……ッッ」


もっと笑いたいけど、これでも遠慮してるつもり

我慢してる分涙が出そう


クスクス笑いながらまばたきを繰り返していると、急に体を締め付けられた

……これは、抱きしめられてるっていうより、締め技に近い

「決めた
振られようが嫌われようが、もうどーでもいい」

やけくそな言葉を吐くとよきは、更にアタシをぎゅうぎゅう締め付ける


「俺、お前がすげー好き
他には何もいらないから……」


いらないから……何?


「クリスマスプレゼントは、お前がいい」


ロシアンルーレットで、銃にこめられたたったの一発が放たれてアタシの胸を貫いていったみたいに衝撃的だった