……はずれも、あるわけだ

と面白くて笑ってしまった

とよきが怒ったようにこっちを見るから、肩をすくめて笑いをひっこめる

「でも、顔がかわいきゃいいんじゃないの?それでも」

と取り繕うと、「顔は、中の下だった」と返ってきてますます吹きだした


マンションの近くの公園が見えてくる

静かな住宅街と、二人の足音と、冬の凍えるような風


「59万……」

と突然とよきが言い出すから「え?」と聞きなおした


「お前は……援助交際なんかしてないよな」

「何それ」

小物がたくさん詰まって重量を増したカバンをとよきの背中にぶつけると、中身が少しこぼれた

アタシは慌てて落ちたポーチや家の鍵を拾っていく

ケータイが落ちなくて幸い……

頭上でとよきが「そんなことしてないって思ってるけど!」って言うから、下を見たまま

「じゃあ聞くな!」

と口調を荒げた


「59万とか言うから……」

「男に言われたとおりに言っただけじゃん」

全て拾って立ち上がると、早足でとよきの前を通り過ぎていく


「おい、……あこ」

「やっぱりあんたも理一の友達だよ」

「え??」


早足のアタシを早足で追いかけてくるとよき

振り返りもせずに怒鳴る

「結局、アタシやモロの事、そういう風なことしててもおかしくない女だって思ってるんじゃん!!」