お好み焼き屋さんを出てしばらく歩くと、段々と冷えてくる

「イルミネーションとか、興味あんの?」

と聞かれて、返答に困ってしまった

「……興味、は、まあ、そこそこに」

「んじゃ、見に行く?」

「んー」

あいまいな返事のまま、少し先を歩くとよきに付いていく

イルミネーションを見に行っても、カップルだらけなんじゃ……

と案じたとおり、手をつないだり腕を組んだり、立ち止まってイチャイチャしてる恋人同士だらけ

……ライティングがどうとか、キレイだとか、そういうのに興味ないってのが丸バレなスピードでとよきは歩いていく

いや、別に、“キミの瞳にレインボー”とか言われたいわけじゃないけど

「とよきっ!」

と呼ぶと、ちょっとスピードを落として振り返った

「そんなに早く歩くことないじゃん」

「ああ、……そーだな」

やっと周りのスピードと調和する

木々に巻きつけられたライトを見てとよきがため息をつくように言った

「キレイ、だと思う?」

「ん?」

「木がライティングされてて、キレイに見える?」

「……なんで?」

「……だってさ、電球なんて時間がたてばたつほど段々と色あせて、最後には消えるんだぞ?」

「うん、そうだね」

「でも、木はさ……時間がたてばたつほど大きくなって、どんどん立派になっていくからさ……」


サリーに好かれるわけだよ

とよきが来れば我先にと寄っていくサリーの凛とした顔を思い出す


「ライティングなんかより、木そのものの方がよっぽどキレイだと……思うからさ
なんか、こうゆう風にされると痛々しいっていうか……」


アタシは困った顔で笑うと「帰ろっか」ととよきを見上げた