「遅刻したし、クリスマスプレゼントで買ってやるよ」

「え、いいよ別に」

遠慮しているうちに、とよきはサッサとレジに行ってしまった


「はい」

と渡されて、「ありがとう」と紙袋を受け取る

目を細めて笑ったとよきは、満足そうに両手をポケットに突っ込んで歩き始めた

「とよきにも何かプレゼントするから、欲しいのがあったら言ってね」

と彼を追う

「んー、別に俺今欲しいものねーけどなあ」

とそっけない返事



それからモール内を二人で隅々まで見たけれど、とよきは何一つ欲しい物を言わなかった

アタシはというと、アクセサリーショップで冬だから見せることもないへそピアスを買ったり、雑貨屋さんでふざけたボールペンに魅かれて衝動買いしたり……

ロフトでスマートフォンのケースとイヤホンを買ったり、小物ばっかり増えていく

小学生の頃から知っているせいか気取らないというか、ほんとに女友達と買い物に来てるみたい


ボディショップで色んな香りのグッズを匂っては手に塗ったりしていると、とよきがおもむろに

「空腹にこの匂いで、なんか気分悪くなってきた」

と小声で言った

「もっと早く言いなよ」

「いや、だって楽しそうに買い物してるからさ」

「何か食べにいこ、もう買い物は十分したし」


クリスマスディナーってイタリアンとか洋食とか……
そういうのを想定してたのに、とよきが「ここがいい」って言ったのは、まさかのお好み焼き屋さん


いいんだよ?
いいんだけど……

つくづく今まで付き合ってきた男と違うな……って実感する

元カレ達なら小腹が空いたら「クレープでも♪」ってなるけど、とよきは「551の豚まん」とか「ラーメン」とか言い出しそう

鉄板でソースがじゅうじゅう言っていて、嬉しそうなとよきの顔を見ているとちょっと笑えた