鬼だ

傷口に塩を塗る鬼女だ

みさきの事では十分打ちひしがれてる男に更にとどめをさすMJ

……心の師、と呼ばせてもらっていいですか??


「MJに言われたとおり、大切なもの見落としてたんだよ
……だから」

としょんぼり理一がMJに話しかけているのに、またナルの選曲したイントロが空気ごと引き裂いてしまった

「ワンオク!
それ俺が歌おーって思ってたのに」

理一がナルに大声でクレームをつけている

あ、もうほら!
そういうのがMJの癇に障るんだって!
っつか、ほんとに反省してんのかお前はッッ?!


「遅いな、早いもん勝ちだっつーの」

ナルは靴を脱いでイスの上にしゃがみこみながらマイク片手にノリノリ

理一は「じゃ、俺ワンオクの“じぶんROCK”歌う」と、同じように靴をぬいでイスにあぐらで座った

「それ、さっき歌ったもんね~」

とナルはマイクを通した大声でしたり顔

――ONE OK ROCK

とテレビ画面に出ている

「ワンオーケーロック??」

と呟くと、隣のとよきに「ワンオクロックな」と訂正された

さっきから理一が「ワンオク、ワンオク」ってうるさいのは「ONE OK ROCKの略」らしい

「アンサイズニアは?」

とよきの横にズズッとずれてきた理一がナルの歌声に負けない声を出して聞いている

「ナルが歌った」

「完全感覚DREAMER」

「ナルが歌った」

「恋ノアイボウ……」

「ナルが歌った」


理一が必死になってるけど、全部片っ端から打ち砕かれていた