しばらくすると理一がやってきて「とよきメールサンキュー」と第一声を出した

とよきのメールの相手は理一だったみたい

「おっ、あこ何その髪の色
兄ちゃんにしてもらったの?」

「違うケド……」

「あこ、美形の彼氏と破局しちゃったんだって
髪切る勇気ないから、染めたんだよな?」

……ナルにそう言われると、なんでかカチンとくる

「へえ~~
わっ!MJもあこにギャル道歩かされてるじゃん」

理一はMJを見て驚いている

いや、理一……MJはあんたのこと、虫唾が走るくらい嫌ってるから……

案の定MJは返事せずに怖い顔をしたまま

「今の方が男受けもいいと思うよ」

理一のほめ言葉にもMJはむしろ怒り出しそうだから、口を挟んだ

「理一、災難続きなんだって?」

「……ああ、聞いた?」

「ま、頑張って」

誰も次の曲をリクエストしていないから、外からの音楽だけが聞こえてくる

やつれたように理一の髪は伸び放題

「あこまた相談乗ってくれよ」

……わっ
そんなこと言ったら、アタシMJに怒られるじゃん

MJは黙って何も言わず視線を無音のテレビ画面に向けている

「なんか……みさきにメールしようと思っても何てメールすればいいのかわかんねーんだよな」

という理一の一言にMJは過敏に反応

「メールなんかしないでよ、あなたみたいな男に、優しいモロは似合わないんだから」

とよきとナルが理一より凍りついている

言われた当人は日ごろからアタシに責められ慣れてるからかあっさりした態度

「俺も、こないだ学校で“優しい”って言われたし」

「やだ、自分の意見がないから周囲にあわせてるだけのあなたとモロの優しさを同じにしないで」