MJの横に座ったナルが「今日も占いグッズ持ってんの~?」と聞いて無視されている

理一が自分の恋心に気付いたあの日、一緒に話を聞いていたとよきに切り出してみる

「理一、さやかとやっていく事にしたんだ」

「……いや、別れ話したら激情した女が階段から落ちて骨折したんだよ」

「マジで……」

「責任感じて、送り迎えしたり学校でもずっと付き添いっぱなし
あれ多分、別れられねーよ」

……それも、MJに言わせたら強いつながりなんだろうか

一緒に過ごしている内に理一の中からモロが消えて、そこをさやかが埋めていくのかな

まあ、でもそれもアリだよね


「お前は、失恋したって本当なわけ?」


とよきが話を変えたから、頭を切り替える


「フラれたわけじゃないけど、恋を失くしたのはホント」

「ふ~ん」

ととよきは反応薄く自分のケータイを取り出した

メールを作成しているのか、親指を動かし続けたままとよきはこちらを見ずに言う


「んじゃ、また一緒に遊べるな」

「やめてよ、あんた達と一緒にいたら男と出会わないじゃん」

「出会わなくていいんだよ」

「彼氏できないじゃん」

「もう作らせるか」

「そんなの寂しいし……」

「だから、俺……らが、いるだろ」


とよきが一瞬だけケータイから目を離してアタシを見たから言葉に詰まる

お互いが何か一言を発しようとした瞬間、ナルの選択した曲のイントロが大音量で流れ出し……

ナルがマイクを通して「イエイッッ!!」と叫んだ声が割れて、MJのみならずアタシも両耳を塞いだ


失恋見舞いのカラオケらしいけど、これじゃ元彼の美声が恋しくなるって……