ナルの後ろにはとよきもいる

「この後デートとかねえの?あこ」

「ええ、おかげさまで彼氏絶賛募集中なんです」

「え、美形と噂の男と別れたの??」

「うん、……美形って……」

「……もしかして、失恋??」

すっごい嬉しそうに言うナル


「まあ……失恋に、近いかな」

「マジで?
じゃあ~、失恋カラオケに繰り出すかっ!」

……相変わらずテンション高い
しかも、人の失恋喜んでるな


「アタシはいいけど……MJどーする?」

「え?MJ??」

と大声を出したナルがアタシの横にいるMJを食い入るように見て「うそっ!髪型変わってめっちゃかわいくなってんじゃん」と目を丸くしている

MJはナルの視線を無視して「たまにはいいわよ」と微笑んだ

興味なさそうに少し離れたところに立つとよきが怒ってるような横目でアタシをずっと見てるから、アタシは不自然に目をそらす


そういえば、一人足りない

「ねえ、理一は?」

「理一は、さやかの送り迎えで忙しいんだよ」

……“みさき、みさき”って言ってた割に仲良くやってんじゃん

カラオケに向かって歩きながらナルはMJをまじまじと興味深げに眺めていて、突然ベシッと彼女に頭をはたかれていた


「って!」

「女性の顔をそんなに見るなんて失礼ね」

「だからって叩くなよ」

「しつけてあげたのよ、感謝してくださる?」


二人の会話を聞いてアタシは思わず笑ってしまう

カラオケに到着すると、とよきはアタシの横にふてくされたままドカッと腰をおろした