「え?別れたの??」

へそピがたくさん陳列されている棚を食い入るように見ている横でMJがそう言った

「うん、まーね……あ、これかわいい♪
モロと色違いで買いたいかも」

「彼氏としてより、芸術家として好きだから?」

「うん、まーねぇ……」

「束縛したくないから?」

「うん、そーだねぇ……」


「あこもモロも、ほんとに弱いわね」


……強いと言われたことは多々あるけれど、弱いと言われたことはない


「人に嫌われたくなくて、善人ぶりたがるんだから」

「善人ぶってないってば」

「じゃあ物分りのいい女ぶってるの?」

「物分りのいい……女じゃん」


へそピを買う気分じゃなくなって店を出ると、容赦なくMJは続けてきた


「嫌われたくなくてそうするのは勝手だけど、それはお互いさまなのよ??」

「え?」

「本当の自分をさらけ出して嫌われるようなら、その相手とはその程度のつながりなのよ
実際あなた、私が霊感商法をしていても嫌わないじゃない?
普通、嫌うものよ??」

……自分で霊感商法って認めたよ、MJ

アタシは毛先をくるくるしながら「うーん……」とあいまいな返答をした

「大体ね、あなたの幼なじみの男
アイツなんて、男の中でも最低の部類に入る男よ?
なのにあなた嫌ってる?
口では“嫌い”って言ってても、本心から嫌いじゃないのよ
顔を見ても虫唾が走ると思ってないし
声を聞くとへどが出るとも思ってないでしょ?」

MJ……理一のことそこまで嫌ってんの……?


「うん……理一をそこまで嫌ってないよ」

「ほら、結局どこかで強いつながりがあるのよ」