「みさきちゃん、テレビでも見てて」

「え?お手伝いは?」

「うん、まだ大丈夫だから」


弟が座ってる位置をずらして「仕方ねーからみさきとテレビ見てやるよ」なんて生意気なことを言う

「そりゃどうも」

弟の横に座って、よくよく考えると弟の名前を知らないことに気付いた

「弟さ、名前なんてゆーの?」

「はあ?しらねーのかよ!
龍一だよ、龍一」

「リューイチ、何年生?」

「中1だよ」

「そっか、リューイチはチューイチか」

「くっだらねーーー」

めっちゃ、生意気ッ

「みさきスカートみじけーよ
それで男誘おうってのが丸見え……ぶっ!」

近くにあったクッションをリューイチの顔におしつけると変な音が出た

短髪の頭をぐりぐりなでて「中1だったら、女子のスカートの中身が気になるくせにー!!」と言ってやる

「気になるかよ!!」

「見たくないの?」

「見たくねーし!!」

「なんや、残念」

「……は?」

「そっかそっか、見たくないか」

「なんだよ……見せてくれんの?」

顔を真っ赤にしてリューイチがアタシを見るから、かわいくて頭をぎゅっと抱きしめた

勢いでアタシの肩口に顔があたって「ぶはっ」とか呻いているのが、またかわいい

「リューイチ、カワイイね~」


バタンッッ


乱暴にリビングのドアが開くと、眉間にしわを寄せた理一が立っていた