黙っていると何を考えているのかわからないような表情なのに、話していると相好を崩す

「送っていくよ」

と国坂くんは携帯電話を重そうな革のカバンに入れて歩き始めた

「みさきちゃんは去年はみかけなかったから、S女の一年?」

「はい」

「敬語じゃなくていいよ」

「国坂くんは、S女の近くの男子高?」

「そう、そこの二年」

学年は違うけれど、やっぱり洋平くんと一緒の学校だ

そこから国坂くんの一問一答がはじまった

「みさきちゃん、何座?」

「いて座」

「何型?」

「O 型」

「身長は?」

「166」

……こないだ聞いたらあこも一緒の身長だった

「体重は?」

「……」

「ごめん」

……こないだ聞いたらあこも一緒の体重だった

謝った国坂くんに顔を向けると、「星座や血液型きくなんて、占いでもするの?」と笑ってみせた

「ほんとは聞きたいことがあるんだけど、言い出しづらくて差し支えのない質問した」

「体重は差し支えあるけどな」

「あー……うん」

なんとなく首元に手をやると、インフィニティークロスのネックレスの留具が前にきていて、くるくると首の後ろにずらした

「女の子にさ、手紙渡したのってはじめてで」

「それはよかった」

「え?」

アタシのセリフに国坂くんが驚いたようだった