そして、粘って粘って……あの日。
「なぁなぁ君、かわええなぁ…俺とどっか行かへん?」
ナンパ野郎のふりして近付いた。
めっちゃ緊張して、手には汗かいてて。
でも、君から返って来たのは…
「………誰に声掛けてやがんだ、チャラ男は嫌いじゃボケェエエエ!!!!」
バキィッ
言葉だけじゃなく、手もだった…
ふはっ…やらかしたか?俺。
でも、印象付けられたか。
それでよしや。
俺の初恋やで?
まず、上手く行かんことがないと…楽しくない。
…楽しくないんや(笑)
そんであの子は、チッと舌打ちだけして歩いて行った。
取り残された俺は、周りの人にクスクス笑われた。
でも、恥ずかしいとかは無かった。
君に近付けた…そんな気がしたから。
「よっしゃ!!何処までも追い掛けるでぇえええ!!」
街中で、叫んでもーた。
ははっ…俺もカズと変わらんテンションになりよんやないか?
…ま、それでもえぇか。
パカッ
俺は携帯を開いた。
ピポピッ
プルルルル…
プルルルル……
<もしもーし。上総でーす>
「あ?カズ?俺や俺」
<は?オレオレ詐欺か!?こんな感じなんやなっ!!マユちゃん、俺今、オレオレ詐欺されとる!!ギャーッ……――>
…うぜぇ……
「おいっカズ、おい!!」
<なんやマジオレオレやられとるー!!>
「俺だ俺!!夕暮だ、ゆ・う・ぐ・れっ!!」
<いやー!……あ?夕暮?あぁ、ゆうかー…>
クソッ…マジうざい…
<なんや?どしたん?ゆうが電話してくんの、珍しいやん>
「あぁ。ちょっとな」
<ふぅん……そうか。もしかして……恋か?>
「…………………」
<恋か?>
「…………恋、やな」
<…ぷふっ…そうかぁ。俺は、お前に着いてくで?>
「マジ?」
<マジもマジ。大マジや>
「ふはっ……!!んじゃ、俺行くわ」
<あぁ。俺も後で…ってマユちゃん、そこはあかーん!!>
……おい。何されとんや…(呆)
「っはー…じゃ、な?」
耳から携帯を離し、通話終了のボタンに手を置いた。
<あっ…なぁ、ぜってぇ諦めたらあかんからな!!あっ…マユちゃ…!!>
「当たり前や」
ブチッ
俺の彼女にしてみせる。
なぁ…一目惚れって、信じる?
俺は、今から信じるわ。
だって信じひんと、君への想いに名前が付けられへんねんもん。
きっと…
君は、追ってきた俺を、嫌うやろな。
でも、その嫌いも追い抜くくらい…埋めるくらい、俺が好きなら…その嫌いも、好きになるやろか?
ま、思ってても仕方ない。
行動せな、行くとこあるし。
俺はクルッと進路を変え、学校へと歩き出した。
想うだけなら誰でも出来る。
俺は、君に想われたいんや。
君の、俺だけに向けられる笑顔が見たい。
全て知りたい。君を。
な、俺は欲張りやから…君がイエスと言うまで、粘るで?
覚悟しといてや。
ま、覚悟なんてしとるはずないか(笑)
「さ、行こか」
…恋だの愛だので…俺が動くなんて。
まるでカズやな(笑)
まさか…自分が、そんな風になるとは思わへんかった。
…でも。
案外これも、えぇかもな。
END
短編なので、またもやすぐ完結しましたー!!
シリーズ化にする予定の短編作品、第一弾…の裏!!
つまり、
関西弁チャラ男:榛 夕暮SIDE
の、物語です(^ω^)
今回は出会う前から、出会って
ナンパするとこまでの夕暮の気持ちを
綴りました(。-∀-)♪
出会いは街中だったのですね(笑)
炬哲は全く気付いてなかったですが(笑)
あとあの服屋(古着屋)は、炬哲の母の妹が経営してるんです♪
そして、「ありがとーっ…――」とか言ってた人は
その妹の子供、つまり炬哲のいとこです!!
いずれ第二弾あたりに出します(笑)
少しでも楽しんで頂けたなら、幸いです♪
櫻裕の作品を見て下さった皆様に、幸あれ☆
2011年4月3日/櫻裕