「……でも楽しそうだからいいのかな?」



「――――だろ?」




思わず独り言を呟いていたので、まさか返事が返ってくるとは思わなかった。


声の主は慎司だった。



「いつもあんな感じなの?」


「うん、仕事中もだよ。俺は好きだから野放しだけどね。…最近は悠太に集中が感じられなくて、昂太がツッコミいれてあんなのが始まるんだ」



「へ、へぇー…」



慎司はふふふ、と笑う。



「でね、痺れを切らした一輝がね―――――」




その瞬間、いい加減にしろ!、という一輝の声が店中に響き渡り、その後に鈍い音が二回鳴った。


隣の慎司は、あーあ、と予想通りだと言わんばかりの声で呟いた。

しかし、彼の顔はどことなく笑っていた。



「今回は一輝のゲンコツもセットだったみたい」



さっきの鈍い音は悠太と昂太に向けられたゲンコツだったのだ。



そして、遠くまで聞こえるようにと口の横に手をあてて慎司は言った。