前に座る悠が両手を後ろに回して、
私がソレに気付くように床を
トントンした。



意味がわからず悠を見ると、
横顔を見せて、
『握ってていいよ』だって。



笑っちゃうよね。
頭の後ろに目玉付いてんの!?って
疑っちゃうくらい、
緊張に押しつぶされそうな私に
気付いてくれる。



三角座りしながら私は、素直に
悠の手を握った。



温かいその手は、
ちゃんと握り返してくれる。



ただそれだけで、
不思議なほど落ち着きを
取り戻せるの。



誰にもバレないように、
私たちは手を握り合っていた。