美桜 拓海
拓海 …ん?
美桜 どしたの?怖いの苦手?
拓海 ――…俺が苦手なわけないじゃん。
美桜 そっか。
そっけないな、今日の拓海。
いつもなら絶対、『美桜怖いのか?』とか言ってからかってくるもん。
それにあんまりあたしに話してくれない。
なんか―…寂しいな。
映画が始まると、さっきまで騒いでいた皆が画面に食いついてる。
内容はこうだ。
両親に捨てられた男の子が孤児院にいた。
孤児院を出て社会人になった男が社会の汚さを理由に殺人を続けて行き、本当の両親、恋人までを殺してしまう殺人鬼の話。
あたしはそれがただの映画に思えなかった。
殺人鬼が、―…彰と重なってしまうから。