「み、みたに…っくん」


驚いて後ずさる。
拍子に、ノートを落としてしまった。


「これは…」

三谷くんが足元に落ちたノートを拾おうとする。
ノートはひらいたまま落ちてしまっていて、嫌でも文字が目に入る。


「見ちゃダメ!」


勢いよくノートをとった。
…でも、手遅れだったみたい。


「なんか…俺の名前が書いてあったんだけど…たくさん」


キョトンとした顔で、私を見つめる。


「あ、もしかして俺に見せる勉強ノート作ってくれたとか?」


笑顔でそう言う三谷くん。
…ここで、嘘をつけば嫌われないですむ。


……けど。


「…ちがうの」


私は唾を飲み込んで、俯いてた顔を上げた。


「これは、三谷君の行動を書いたノートなの」


私は三谷くんにノートを渡した。
三谷くんは首を傾げながらノートを読んでいる。


「気持ち悪い…でしょ?私ずっと、三谷くんの事見てたんだ…」


三谷くんの顔を見れずにうつむく。


「でも、もうやめるから…ごめんなさい!」


大きく頭を下げて、逃げた。