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「──……って、なんでそんなこと、ほぼ初対面なオレに話す訳?」

「さぁ? もう会わないからじゃね?」

軽い口調で、隣にいたその人に言えば、なんとも微妙な顔をされる。

白で統一された空間。
8人は収容できるベッドがある、それなりに広い空間で、今は6つほど埋まっている。

そして、しっかりと閉められたカーテンにより区切られた空間の中、あたし以外にもう一人、一応同い年のそいつはいた。

あたしの隣のベッドに入院している、女性が彼のお母さんらしい。

あたしが入院したのは1週間前。
大学が終わって3日ほど経ったときのこと。

なんてことはない。
あたしは車に轢かれたのだ。

そこまで何かあるわけではない。だって、大学はもう春休みで、これから大体2ヶ月はお休み。
まあ、バイトは出れなくなったけど、そこまで執着してたわけじゃないし、入院費なんかは轢いた方が持ってくれてるからなんも問題ない。

そして、ここに入院して1週間。
家族以外、あたしのお見舞いにやってくる人はいなかった。


「……いや、オレもいきなり、んな重い話するなんて思ってなかったよ」