『──大丈夫。私は唯のこと、大好きだよ?』


言わないでよ、そんなこと。
そんなこと言うから……言うから、あたしは……


「惚れちゃったじゃんか……」


手を上に伸ばし、空を掴むように握り締める。

虚しいことこの上なかった夢は、久しぶりに見た。

あたしの初恋の相手兼最後の友人。
今でもいい友人……だったら良かったんだけど、違う。
あたしからその友人は切った。
だって、自分が信じられなかったから。

女であるあたしが、女に惚れるだなんて。
一人の部屋で泣くだけで、それ以上のことはしなかった。


同性同士の恋愛なんて報われない。
それはあたしが何よりも知ってる。
だから自分の性癖に蓋をして、あたしという“自分”を演じている。
異性が好きな、普通の“自分”を。


ベッドの毛布を畳み、適当に脱ぎ捨てられてたジーンズを着て、タンスから出したセーターを着る。

私はよく聞くような、『性同一性障害』じゃないと思う。
スカート履くことに抵抗はないし、それなりにおしゃれにも興味があるし。