「あんたの期待してた答えならまだいいけど、もし、本当にあたしみたいに“友人”のいない人だったら、かなり傷つけるんじゃない?」


そこまで言えば、ソイツは『あぁ』と、気まずそうに頷く。
そりゃそうだ。
そんな質問、『お前は友達いないのか?』と直球で聞くようなもんだし。


「あ、つか、名乗ってなかったな。オレは片岡暁(かたおか あきら)。お前は?」

「名乗る必要性が感じらんないんだけど」


そう言って、あたしはベッドについているタグを指差す。
そこにはあたしの名前が書いてある。


「ええと……『松下唯(まつした ゆい)』な。よし、覚えた」

「覚えたとこ悪いけど、もうあたしに話し掛けないくせに、覚える必要ってあったの?」

「え? オレは話すつもりなんだけど」

「……あたしの話聞いてた? さっき言ったろ? もうあんたと話すつもりはないって」