「……あぁ、そうだよ。お前と駅で会った日に約束してた相手は妹。でも、お前と課長の会話を聞いたあとだったから、見栄張ってあんな言い方したんだよ……」


不機嫌な表情で話した村上君に、胸の奥がキュンと鳴ったけれど──。


「バカね」


それを隠すように、ため息混じりに呟いた。


「つまらねぇ駆け引きなんかしたお前にだけは、絶対に言われたくねぇよ」


「あ、あれはっ……!」


「あ〜、はいはい。このことで今更言い合っても仕方ないから、もうなにも言うな」