面倒臭そうに話しながらもその声は明るくて、村上君は妹さんを大切にしているんだって思った。


「この間だって、オープンしたばかりのレストランに付き合わされて、お前からの誘いを断るはめになったしな……」


「え?」


弾かれたように顔を上げると、直後に目が合った村上君がバツの悪そうな顔をした。


「ねぇ、それって……」


真意を確かめるよりも早く、彼が深いため息をつく。


だけど……。


逃げられないと思ったのか、村上君はすぐに諦めたような表情を見せた。