「……ってことで、こっちも味見しなきゃいけないよな」


「……っ!」


楽しげな声の村上君との距離がグッと縮まって、思わず身を竦める。


「な、なんなの……?」


「ん? 今度は、シュークリームよりも甘い物を食べようと思ってさ」


村上君は、また妖艶な笑みを浮かべていて……。


ただの同僚だった頃には見ることのなかった表情に、体中が熱くなっていく。


私は緊張で視線を泳がせながらも、ほんの少しだけ見えた彼の裏側の表情に支配されていくような気がしていた。