「はい?」



暫くして、灰色の寝巻きを着たままの、蓮實が現れた。
相変わらず、染めたと誤認しそうな茶髪。
確か、水泳やってた影響だとか。



「あー……、秋澤?」

「あ、あっと、その、ね!」

じーっ、と思わず見てしまった。
不審げな蓮實の声で、慌てる。




「先生に頼まれて、手紙持ってきたの!あの、まずコレとコレは提出用で、明日までだからっ!! で、こっちは5日までだから、これは、今月末まで」
「明日まで……?あー、ちょい待ち。ちょっとメモるから。……玄関まで入って良いよ」



コレとコレ、と言いつつ、提出書類は5枚以上。
蓮實に促されるまま中にはいると、昔とほぼ変わらない配置の室内があった。
懐かしいなぁ、と思って僅かに笑う。


「……あ、これ」


待ってる時に、少し汚れているが小説を見つけた。
玄関にならぶ、棚の上に置いてあって、手にとってみる。ずっしりと、重量感がある分厚い小説だ。



「……何?興味ある?」



「へぁっ!!?」

突然、後ろから話しかけられ、驚いた。