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仕事の速いことで、更に次の日には扉は直ったらしい。
もともと壊れていたのは鍵だけらしく、そんなに大掛かりな修理には至らなかったみたい。
さすがに扉一枚真っ二つとかはないからね。それやってたら追求されてたかもね。
とりあえずはホッと息をついてグラウンドにいる人を眺めていた。
「心菜ーー。何見てるの?あ、湊くん見てたんだ」
「うん。そう」
「うん。そうって……遂に……遂に……!?」
「愛架が想像してるような事はないよ。ただ、今日のパーカーに猫耳がついてるんだよ」
変な誤解を口走られる前に制止して、窓ガラスを人指し指で突いた。
その先には湊。元気よくクラスメイトであろう人たちと遊んでいる。
「なんだぁ。でもあれ可愛いね。さすが湊くん」
何がさすがなのかは分からないが、うんうんと頷いていた。
しばらくはその猫耳を見ていた。他の種類もあるんだろうかとか考えながら。