「朔、帰ろ」
いつものように誘って。
いつものように話をする。いつもと違うのは噂の事が頭の中にあること。
だけど触れない。触れちゃ駄目な気がした。
「先輩、元気ない?」
「そんな事な…「あれ?朔夜?」」
私の言葉を遮り私じゃない誰かが朔の名を呼んだ。
振り返れば、黒い髪を緩く巻いて、顔立ちがハッキリした大人っぽい綺麗な人。だけど近くにあるお嬢様学校の制服を身に纏っているから同じ高校生だと分かる。
「沙織さん……」
火のない所に煙は立たない。
噂は真実?
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