相手が屈み込んだのが分かった。
「携帯も出ないし、誰に聞いても居場所知らないし、散々探しました」
「……」
「顔、上げてくれないんですか?」
「……」
「ここちゃん先輩って時々可愛いですよね」
「なっ……!」
不意打ちな発言にカバッと顔を上げればニッと笑う朔。しまった。
「ほら、可愛い」
「……」
何で平気でそんな事言うかな。仁の時とは違い恥ずかしくて堪らない。
目を反らして、飴を食べた。
「髪長いのも似合いますよ。その格好も」
「……別に誉めなくてもいい」
隣に座って来るものだから、顔をごと背けて本の方に向いた。