「やっぱり私、貴方の事知らないわ」

ですよね、知ってます。


「それに、ずっと見てたって、
 あなた私のストーカーさん?」

「えっと、駅とかで見ては居ましたけど、
 後をつけたりとかはしてないです!
 でも勝手に見ててごめんなさい!」

そう言うと、
彼女はまた口元に笑みを浮かべた。


「別に、見るだけなのに
 許可なんていらないわ」

「よかった……それで、
 あの、中野さん」

「私の苗字、知ってるのね」

僕が彼女の名前を知ったのは、
偶然、
誰かに呼ばれたのを聞いたのでは無く――


「あの、ゴメンなさい。
 人づてに、その……」

「誰かに聞いたの?」

「……はい」

そうです。
聞きました。


立派なストーカーですね。
ごめんなさい。