肌寒かった季節も終わり、本格的な夏が近いてきた
街では夏らしい服がたくさん並んでいる
そんな街中で私はある人を待っていた
…いや、正確には待たされていた
「…ありえない」
…な、なんで私が…
「あ!恵梨!」
龍貴(コイツ)の迎えに来なきゃなわけ!!??
せっかくの日曜日を、こんなやつのために使うなんてもったいなさすぎる
…本当勘弁してほしい
「あ、恵梨さん。ありがとうございます」
龍貴のマネージャーさんの、近藤さんが申し訳なさそうに頭を下げた
彼女は結婚したばかりで、赤ちゃんが生まれたばかり
だから迎えや送るのが遅くまでできないそうだ
…だったらマネージャー変えればいいのに
と、ひねくれ者な私は思うのであった
「あ~。大丈夫ですよ。今日予定なかったんで」
「そーだよ近藤さん。恵梨は毎日暇だから大丈夫だよ」
「は?」
こ、コイツは…
私を怒らせる天才なのか
「龍貴くんってば!!本当ごめんなさい!せっかく恵梨ちゃんが迎え来てくれたのに…」
近藤さんは龍貴を怒りながらも、優しい表情は崩さなかった
…それじゃダメでしょ…