でも飛鳥。
こんな時に言わなくても良いじゃない。
後ろにいるこの男の目線が痛すぎる。

好きな人の好きだった話なんて、相手が自分じゃなきゃ聞いても良い思いなんてしないじゃない。


「ねぇ、そうだったの?結。」

聞いてくるのは、私の彼氏の榊原先輩。
いつにも増して、オーラとかが怖い。

『違うよ。拓也に対しての好きは、サッカーをそんなにも頑張ってしている所を見て
尊敬してたの。だから、憧れみたいなものだったの。』

「ふーん。」


良かった。所々、言葉を選んだり言ったから、ちゃんと伝わったかどうか曖昧だったけど…
この危険なところからは回避できた


でも、そう思ったのは束の間。飛鳥の次の発言で私の頭は、強制的に機能停止状態にさせられた。


「ん、拓也だって結の事を好きだったのに。」

『……え?』

今何て言った?

「お前ら、片想いを両方してたってこと。」


拓也が私の事を…。
サッカーにしか興味がない拓也が?