嘘でしょ…?
飛鳥の頭がバカなだけでしょ?
と思って周りを見てみると、目が合ったが逸らされる。

即ちそれが、有無を言わせない肯定っていう返事で…。



知らなかったのは私だけか。


脱力感にみまわれた。


何も考えたくないし、この空間の中にいたくなかったから

『私、テニス部の方見に行ってくるね。』

そう言った。
本当は、行かない。ただこの場を速く逃げ出したい一心だった。


皆が 大丈夫?だの、拓也が飛鳥に怒ってた声が聞こえたかもしれない。


部室のドアを開けようとした時

「俺も行く。」

振り向かなくてもわかる。榊原先輩の声が上から降ってきた。


『ありがとうございます。』

声を出すには大変だった私が声を出せたのは、相手があなただったからかもしれない。