そうして、やっぱり、気付かせてしまう。
心配させてしまう。

「冬実?おい、どうした!?」
そう真琴に聞かれても、首を振ることすらできない。
いつも安らぐその声は、余計に私を苦しくさせる。
心配されて背中に置かれる、その大きな優しい手は、切なくなるだけ。
こんなに、恋とゆうのがこんなに苦しいものならば、しない方がましだと思った。
「おい、冬実!大丈夫かよ!?」
たとえどんなに小さな声だとしても、私の耳にはしっかり届く。

「やめて!!私に構わないで!!!!」
予想以上に大きく響いたその自分の声は、教室内を静めた。
顔をしかめて教科書を読んでいるクラスの子も、それを満足そうに聞いていた先生も、手紙の受け渡しをしているクラスの子も、ノートに落書きをしているクラスの子も、机に伏せて寝ている紀龍も、授業をしっかり聞いている燐も、クラス中が私の方を振り向いた。

「私の事、放っておいてよ!!」
それにも関わらず、私はもう一度、叫んだ。