「ユウキ!
お化け屋敷も怖いんかよ! 」
王子が、茶化す。
「こ……怖くなんかね~よ」
声上擦ってんぞ……大丈夫か? こいつ。明らかにやせ我慢だな。
「じゃあ、ちゃんと入ってゴールしろよな! 」
王子は、意地の悪い笑みを浮かべた。
王子でも、こんな顔するんだ?
意外な一面を見た気がした。
「お……おう!
望むところだ! 」
あ~あ。
完全に遊ばれてるな、コイツ……ご愁傷様。
お化け屋敷は、全く並んでいなかった。なので、すんなり入れた。
お化け屋敷の入口で係員が、
「このアトラクションは、2人ペアで入って下さい」
と、言う。
「きゃ~モモカ、やっぱり怖ぁい!」
モモカが王子の腕を掴む。
「大丈夫だよ」
王子が、ちょっと戸惑いつつもニッコリ笑う。
「私、ハルト様と一緒に入る」
「お……おい」
ちょっと待てよ!
あたしとモモカじゃないんかよ!
あたし、この人と初対面なんですけど……。
あたしは目でモモカに訴えた。