「ナズちゃんさ、今日雰囲気違うよね」


「ん?
別にいつもと変わんねーよ? 」


「私服だからかな? 」


「ああ……これか?
これ、母さんのなんだけど、着てけって言われて……あたしに花柄とか似合わねーよな」


今日のあたしのスタイルは、水色の花柄の白いシャツに、ジーパン生地の短パン。
朝、あたしが、ジャージみたいな服を着ていこうとしたら、母に止められ、可愛らしい服を着せられた。
母さん曰く『今日、男の子も一緒なんでしょ。
ダメよ。そんな格好じゃ。女の身嗜みよ』と、言われ無理矢理着せられた。


「いや、そんなことない。可愛いよ」


「……えっ」


「だから、また着て? 」


「……」


王子がニッコリ笑う。
あたしは、頭が真っ白になって、言葉が出なかった。


「ナズちゃん……?」


お前さぁ、そういうことサラっと言うなよ。
だから、あたしにタラシって言われんだよ。

……あたしは、照れて、顔が赤くなっていたに違いない。



「あっ……あれなんだ? 」


あたしは咄嗟に話題を変えようと、遠くに見えるアトラクションを指差した。


「あれは、バイキングだよ! 」


「へぇ~面白そうだな! でも、絶対モモカとユウキ嫌がるよな」


……いろんな乗り物があるんだなぁ。


「あっ! あれは、なんだ? 」


「う~ん?
感じからして、お化け屋敷じゃない? 」

「うわぁ~入りてぇ! 」


あたしは、子どものようにはしゃいでいた。