「はじめまして。
女子バスケ部の部長の市橋カナミです。
今日は、お忙しい中来て下さり、ありがとうございます。
今日一日よろしくお願いします」


カナミ先輩が丁寧に挨拶をし、頭を下げた。


「あっ……いえ、そんな! 頭を上げて下さい」


あたしは、困って、あたふたする。


「私の不注意で、怪我をしてしまって、みんなには、とても迷惑をかけてしまいました。
ナズナちゃんにも……本当にすいません」


カナミ先輩の足には、包帯がぐるぐる巻いてあって、痛々しかった。



「あっ、気にしないで下さい!
今日は、あたしも精一杯やります」

「精一杯ねぇ~まぁ期待してないから!
来たボールは全部パスしてくれればいいから!
あとは、なんも、やらなくていいよ。
カナミの分は、私が補うから! 」


あたしの後ろから、髪の短い勝ち気そうな女の子がしゃしゃり出る。
あたしは、眉をぴくぴくさせた。


「ミカ!!
そんなこと言わないの! 」


カナミ先輩が怒る。


「助っ人として来ていただいたのに、すいません。
3年は最後の大会なので、みんなこの試合に賭けてるんです。
だからピリピリしちゃって……」

「全然いいですよ! 」


あたしは、作り笑いをしたけど、心の中では、なにも言えなくなるようにしてやる!
と誓っていた。