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夏休みに入り、あたしは、毎日バイト三昧だった。


仕事にも慣れ、バイト仲間とも仲良くなり、楽しい日々を送っていた。




……ある日




携帯に、見知らぬ番号から電話がかかってきた。





誰?と不審に思いながらも、電話にでた。









『もしもし』

『あの、ナズちゃんですか? 』


とても聞き覚えのある声だ。


『王子? 』


『急にごめん。
番号、モモカちゃんから聞いたんだ。
それで、今日電話したのは、お願いがあって……』


王子の声が曇る。


『ん? なに? 』


『実は……明日バスケの地区大会なんだけど、女バスのエースが、今日合宿で怪我しちゃって、人が足りないんだ……お願い! ナズちゃん、代わりに出てくれない? 』


『なんで、あたしが? 』


『誰かバスケ出来る人いないかって今、手当たり次第探してるとこなんだけど……なかなか見つからなくて』


あたしは、どうしようかと思った。
ちょうど明日は、バイトが休みだし。


『出てくれたら、お礼は、ちゃんとするから! 』


御礼!?


『分かった。その言葉忘れるなよ!』


明日暇だし、まぁいっか!
完全に御礼に釣られたあたしは、明日バスケの試合に出ることになった。