「ナズちゃんさぁ、フォーム綺麗だね」
「ああ、あれは、中学の先輩に教わったんだ」
「そうなんだ。
あれ?
ナズちゃん、何中だったっけ? 」
「緑ヶ丘中」
「俺、遠くに引っ越したからさ、こっちの学校のこと、よく知らないんだけど……緑ヶ丘って聞いたことあるな」
うーん。
「多分、あれかな。
うちの中学のバスケ部、一昨年全国大会に出てるからじゃん? 」
「そうなんだ。すごいね」
うん。ほんと先輩は凄い。
うちの小さな中学で、全国なんて快挙今までなかったから、凄く騒いだし、盛り上がった。
「……ナズちゃん、変わったね。
雰囲気もだけど、昔はスポーツとかあんまやらなかったよね?
喋り方も男っぽいし」
……ヤバい。
「そうか?
気のせい、気のせい……アハハ 」
とりあえず、ごまかせた……?
「あーっ! もう、家すぐそこだから。
送ってくれて、ありがとな。じゃ! 」
「あぁ……うん」
王子と別れ、あたしは、自宅の扉の鍵を開けた。