「王子? だれそれ? 」

「あっ!! 」




やべっ!
しまった……心の中のあだ名、言っちまった。


あたしは、口を押さえたが、時すでに遅し。
あたしは、観念して白状することにした。


「お前のことだよ」

「はぁ!? 」


あ~ぁ。しくじったなぁ。


「だから! あんただよ。
あたしがつけた、あだ名だって! 」


あたしは、もうやけくそだった。


「なんだよそれ。
しかも、俺、王子ってガラじゃないし」


よく言うよ。


「入学式のとき、回りに薔薇の花つけて歩いてたのは、どこの誰ですか? 」


「つけてないよ」


「愛想ふりまいてただろ。
じゃあ、タラシってあだ名は、どうだ? 」

うん。
いいかもしれない。


「タラシかもしれないけど……。
そのあだ名はやめろよ。
ってか別にあだ名つけなくても……」


「まったく。我が儘な王子だなっ! 」


なんで、人気なんだ?
こいつの、どこがいいんだ?
ほんと理解できない。