「じゃあさ、ナズナは、ないの?
そういう、恋バナとか」



モモカは、懲りずに話を続ける。



……今度はあたしかよ。


「だからねぇ~って」


「中学んときの話しとかさ」


中学……。
一番触れられたくないこと。

「あぁ! その顔、ぜったいなんかあるな! 吐けぇ! 」



モモカは、笑いながら、あたしに攻め寄る。


「別にいいだろ!
そんな昔のこと!
誰にでも触れられたくない過去の、1つや2つはあるだろ! 」


あたしは、声を張り上げていた。
みんな驚いて、こちらを見ている。
あたしの周りだけ、ブリザードが噴いたような空気になった。


「そっか」


モモカは、それ以上何も聞かなかった。


「あっ……ごめん」


あたしは、それだけ言い残すと罰が悪くなって、教室から出た。
頭を冷やそうと一人になれる場所を探した。