体育館に入って、部活紹介が始まった。

バレー部、野球部、サッカー部、卓球部、テニス部など、さまざまな部活が紹介をする。
あたしは、興味がなくて、うたた寝をしていた。



「……次は、バスケ部の紹介に入ります」


バスケと聞いた瞬間、目が冴えてしまった、あたし。
まだ、未練があるのか……なんて、考え苦笑する。


「バスケか……。
いいなぁ」


懐かしい。
楽しそう。


……あたしの様子を隣で見ていたユウナが話しかけてきた。


「ナズナちゃん、バスケ部に入るのですか?」

「……う~ん。考え中。
ちょっとやりたいけど、バイトもしなきゃならないし……」


両立は難しいよな。


「なにか、欲しいものでもあるんですか? 」

「いや……。
欲しいものはないけど、生活費が欲しいかなぁ~みたいな。
うち母子家庭なんだけど……母さん病気で働けないんだ。
だから生活苦しいから、少しでも、あたしが稼ぎたいな~とか」

「……そうなのですか。
大変なんですね」


ユウナの表情が険しくなる。
そういう顔させたくなかったから、あんまり言いたくなかったんだけど。



「そんな顔するなって!
あたしは、別になんとも思ってないんだから」

昔に比べたら幸せすぎる程だ。

「私に出来ることがあったら、なんでも言ってくださいね!」

「サンキュー!」