あたしのテンションが奈落の底に落ちた頃……あたし達のところに、王子が来た。
「ナズちゃんおめでとう!
凄いね! 3年生を抑えて、優勝なんて」
王子は、興奮気味に話し出した。
「どうも」
はぁ……。
それどころではないあたしは、テキトーな返事をしていた。
「あれ?
勝ったのに元気なくない?
まぁ……とにかく、凄かったよ!
あのキレのある動き、綺麗なフォーム!最高だったよ」
「どうも」
毎日……とか。
「いつも、ラブラブだねぇ」
ミカ先輩が、茶化すように言う。
「はい! 熱いですね」
カリンが笑う。
「うちらは、退散するか」
「はい」
「今度、また一緒に試合しようよ!
俺、ナズちゃんとやりたい! 」
バイトが……。
「どうも」
あたしは、薄ら返事をした。
心ここにあらずだった。
「どうも?
ナズちゃん、ナズちゃん大丈夫? 」
王子は、あたしを呼びながら、顔の前で掌を上下させた。