「ナズナ。おめでと!
完敗だよ。でも次は、負けないからな! 」
ミカ先輩は、すがすがしい表情を浮かべていた。
「望むところです! 」
めっちゃ楽しかったな。
またやれるといいな!
「ところで、ナズナ……お前また、バスケ部かなりサボってんだって?
確かに、準部員でもいいとは言ったが、少しぐらい顔出せよな。
未来の部長候補なんだから」
う……。バレてたか。
「ってか、部長候補ってなんっすか?
あたしが、そんなんなるわけないじゃないですか! 」
有り得ないっしょ!
マジで!
あたしには、バイトがあるんだっつ~の!
「そんなこと言ってられるのは、今のうちだけだと思うがな……まぁ、とにかく少しは部活に顔出せよ! 」
ミカ先輩が、念を押す。
「分かりましたよ……」
「カリン、ちょっと来い! 」
ミカ先輩が、カリンを呼んだ。
「カリン……お前、何気にナズナと一緒のクラスだったんだな」
「はい! そうです」
「それでな、ちょっと頼みたいことがあるんだが……」
頼みたいこと?
あたしは、隣で2人の会話を聞いていた。
「なんですか?」
「放課後になったら、毎日ナズナを体育館へ連れていけ!
分かったか? 」
ミカ先輩は、不敵に笑った。
「ちょっ! 待って下さいよ! 」
ほんと有り得ね~よ!
「はい! 分かりました! 」
カリンも、不敵に笑う。
「ちょっ待てよ!
カリンまで!
毎日は、無理ですって」
無理無理無理!
ぜってー無理。
「聞かなくて、いいから」
「はい!
私も、ナズナちゃんに教わりたいこといっぱいあるんで!
連れて来ます」
2人は、なんだか楽しそうだった。
あたしの意見は、まったく聞き入れて貰えなかった。
せっかく勝ったのに、テンション滑り落ちた。