「あぁ~! 」
トーナメント表を見ていたトモカが、急に大声をあげた。
「どうした? 」
「ナズナの1回戦の相手、相場由紀(あいばゆき)って……1年で卓球部のエースの人だよ」
まじかよ。
卓球苦手なのに……ぜって~勝てないじゃんか。
「あっユウナの相手は、普通の人だ!
良かったね」
トモカが、笑った。
「ナズナちゃん、ファイトです! 」
いや、完全に無理だろ!
「やれるだけやってみるよ……」
あたしのテンションは、だだ落ちだった。
「そういえば、トモカちゃんは、どうしてここに?
バスケじゃありませんでしたっけ? 」
ユウナが、聞いた。
「あぁ!
いいの。いいの!
1回戦なんて、私いなくても、勝てるから! 能ある鷹は、爪を隠すってね」
トモカは、笑っている。
「そうなのですか」
ユウナそこ納得するとこじゃないぞ。
能ある鷹ね……。
ただのサボりじゃ……。
「……サボりじゃないわよ」
「別になにも言ってね~だろ!」
「だって、ナズナの顔にそう書いてある」
さすが、トモカ。あたしの考えてることは、なんでも、お見通しか。
「とにかく、1回戦に出なくても、応援ぐらいしに行けよ!」
「嫌よ!
ナズナの卓球惨敗戦見なくちゃ! 」
おいおい。
「トモカ、確かに負ける確率のほうが高い……だけど、やる前から負けるって決めつけるなよ! 」
「だって~ナズナ、そんじゃなくても卓球苦手じゃん!
いつも、力強すぎて、台に球入らないじゃん」
た……確かに。
「まぁ、細かいこと気にしなぁ~い!
はい、もう始まるみたいだから、ナズナは、5番の台、ユウナは、3番の台に行く~! 」
トモカに押され、あたしとユウナは、台の前に行った。