「今日は、楽しかった! ありがとう」

「俺も。また誘ってくれよな」


モモカとユウキが言った。


「ああ。またな「ナズナには負けないから。じゃあね」

モモカが、耳元でボソッと呟いた。

……?



「じゃあね。気をつけて」

王子が、手を振る。

モモカとユウキは帰る方向が、逆のため駅で別れた。






「王子の家って、こっちだったんだな」

「うん。本町だよ」

「マジ? 近いじゃん。あたし、市橋」

「そうなんだ! めっちゃ近いね。
あのさぁ、この前の御礼なんだけど……なにがいい? 」

「この前? 」

なんだっけ?

「バスケ部のメンバー足りなくて、ナズちゃんに手伝ってもらったじゃん! 」

あぁ! あれか!

「あぁな! ほんとにいいのか?」

「うん。約束したじゃん!
なんでもいいよ。なにがいい? 」



少し考えて……


「あたし、行ってみたいとこがあるんだけど……」

「どこ? 」

「内緒!
それは、行ってからのお楽しみ」

「分かった。いいよ。いつにする? 」

やったぁ。あそこ、ずっと行ってみたかったんだ。

「今度、バイト休みの日連絡する」

「分かった」


あたしの家の近くの分かれ道。

「あたし、ここ右なんだ」

「そっか。
俺、左だから。
じゃあ、ここで」

「じゃあ、またな!」

「バイバイ」



こうして、王子と別れたあたしは、帰宅したのだった。