トイレから帰ってきた王子が、手になにかを持っていた。
なんだ?
アイス?
「はい!
ナズちゃんとモモカちゃん、どうぞ」
王子は、アイスクリームを差し出した。
「えっ?
いいのか? 」
2つとも、あたしが受け取る。
「2人ともアイス、嫌い?」
「いや、甘いもの、めっちゃ好きだけど……」
「私も、好き」
アイスは、バニラとチョコの味だった。
「モモカ、どっちがいい?」
「バニラ……」
「はい」
あたしは、モモカにバニラの方を渡す。
「いいの? ナズナ」
「ああ。モモカ、これでちょっとは元気出せよ」
あたしは、笑って答える。
「ありがとう」
「あたしが買ったんじゃないけどな」
あたしが、ハハと笑う。
「ありがとう、ハルト様」
「いいえ」
王子が満面の笑みを見せた。